日本アレルギー学会認定の専門医として、各種ガイドラインに基づく治療を行います。また治療開始前には、疾患の状況をできるだけ理解していただき、目標や治療についてできるだけ詳しく説明するよう心がけています。(重症度により必要と判断すれば専門の総合病院へ紹介させていただきます) 対象疾患は、花粉症・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性鼻炎(通年性)・蕁麻疹(じんましん)などです。
アレルギー診療は赤ちゃん~成人まで対象です。
よくあるケースを例にあげて診療の流れを示します。
症状が出たときの状況を詳しく問診し、必要に応じて、血液検査・皮膚テストなど行い原因食物を特定します。症状の程度・血液検査の結果・年齢などを考慮し、食物経口負荷試験を行いながら安全に食べられる量を見つけます。その安全量から摂取を開始し、身体を徐々に慣らしていきます。
血液検査は経時的に変化します。改めて血液検査を行い、必要に応じて、皮膚テストや食物経口負荷試験を行うことで、安全な量から摂取を開始していきます。だらだら除去し続けないことが大切です。
湿疹やご家族のアレルギー体質は食物アレルギー発症のハイリスク因子です。離乳食開始前に血液検査を行う場合があります。
検査の値によって、その後の方針はケースバイケースですが、共通して言えることは、ハイリスクなお子さんほど、早めの摂取が大切と言われています。ただし、皮膚の状態を良好に保つこと・安全な量を摂取していくことが非常に重要です。
湿疹がある場合、速やかに改善・ツルツルを維持できるよう投薬・指導を行います。
また、卵に関しては、日本小児アレルギー学会から発信された「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」のプロトコールに基づき鶏卵の摂取を開始することで、良好な結果が得られています。
摂取歴やこれまでに出現したアレルギー症状を確認し、必要に応じて血液検査・皮膚テストを行います。食物経口負荷試験を行いながら一つずつ食べられる食材・食べられる量を増やしていきます。何をどこまで食べられるようになりたいかはご家庭・ご本人の思いもあると思います。それぞれの目標に寄り添っていきたいと考えています。
一般的な食物アレルギーとは少し違ったタイプで、胃腸症状のみを特徴とするアレルギー(食物蛋白誘発胃腸炎)の可能性があります。
必要な検査を行い、場合により原因食物の除去を開始します。いずれは食べられる(寛解)ようになると言われています。ただし、寛解の時期は原因食品によって違いがあり、食物経口負荷試験で寛解の時期を見極めます。
治療目標は“ツルツルの維持”です。
そのためには、毎日の外用(保湿剤や外用薬)が欠かせません。
小さなお子さんの場合は、おうちの方が塗りやすいタイプの外用剤を選ぶことも大切です。手間がかかって継続できなくなるより、継続できそうなタイプの外用剤を選んでいただくよう心がけています。お子さんが大きくなったら、お子さん自身に選んでもらうのもいいと思います。
外用方法を指導します。不安な場合は目の前で塗っていただくこともあります。
正しい外用方法にも関わらずスッキリ軽快しない場合は外用する薬の種類を変えます。
「良くなったから、つい外用を中断または薄く塗ってしまい、また悪くなった」という話をよく耳にします。薬の外用で一見きれいに見える皮膚でも皮下には炎症が残っています。必要に応じて皮下の炎症を血液検査で測定し、炎症が正常化してから外用の減量スピードをあげていきます。一度よくなった皮膚は再燃しないようツルツルを維持しながら減量することが大切です。当院では減量のためのスケジュール表を渡しています。
正しい外用方法にも関わらず時々増悪する場合には、ダニ・ハウスダスト・ペット・汗・食物・金属(砂場)など、悪化因子についても注意が必要です。
「必要以上の除去をせず、安全に食べられる量を見つけ食べていくことで身体を慣らしていく」という方針です。
食物経口負荷試験は日々行っています。必要に応じて、皮膚テストも併用します。
ガイドラインに基づいた標準的な治療をしています。
必要に応じて呼吸機能検査やNO測定を行います。
小さなお子さんは検査ができませんので、喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼー)がいつ・何回あったか、気管支拡張剤の吸入をして喘鳴が改善するか、など総合的に判断します。
治療の基本は“発作予防”です。
発作は治療で鎮静可能ですが、繰り返せば繰り返すほど炎症が悪化し、気道がどんどん硬くなっていきます。硬くなった気道は元に戻ることはありません。発作を繰り返さないことが大切です。よいコントロール状態を保つようにしましょう。
“発作予防” & 良好なコントロールのために・・・
*しっかり治療しているにも関わらず改善しない重症喘息の方には、生物学的製剤の治療も行っています。
*2023年スギ舌下免疫療法のお薬が製造制限されていました。今年は原材料の収穫→製造の年で、完成は来年となり、今年も十分量の入荷が見込めないようです。今年度、治療開始をご希望の方は2024年6月以降、HPを随時ご確認ください。昨年同様、お薬が入荷され次第、随時HPに掲載します。
花粉症の辛い症状は、イライラ感や睡眠障害を引き起こし、集中力や思考力に影響を及ぼすことが分かっています。きちんと診断し治療しましょう。
いつ・どんな症状が出るか問診し、必要に応じて血液検査・鼻汁検査・鼻腔診察・皮膚テストなど行います。
“抗原回避・除去”が基本です!“抗原回避・除去”を行わず、薬ばかりに頼っても効果は限定的なものになります。花粉症とは、「抗原(花粉)に曝露される → 身体が過剰に反応 → くしゃみ・鼻水・鼻づまり・眼の痒み・皮膚の痒みなどの症状が出る」というものです。さらされる抗体(花粉)の量を減らすことが症状を軽くするための基本なのです。
毎年症状がひどい場合は、花粉が飛散する前から薬物療法を開始します(初期療法といいます)。発症時期を遅らせ、症状を軽減することが可能です。初期療法は花粉飛散予測日の1〜2週間前から花粉飛散が終わるまで継続することが大切です。
症状の種類や重症度によって治療薬の選択をします。症状が出始めたらすぐに、あるいは花粉飛散予測日から服薬を開始します。当院ではあらかじめお薬を処方しておき、適切な時期にすぐ服薬を開始していただけるようにしています。治療開始が遅くなるほど治療に対する反応が悪くなります。
点鼻薬や内服薬の治療では症状が治まらず非常に辛い方・抗ヒスタミン薬で眠気がひどく治療を強化できない方は試してみる価値がある注射薬です。2020年より保険適応になりました。
治療できる期間は概ね2~5月限定で、体重や直近の総IgE値で投与量・回数が決まります。それに伴い費用が違いますが、数千~数万円/月と高額です。(←3割負担の場合。受診・検査代などは別になります。)
投与条件は、スギ特異的IgE値がクラス3以上、総IgE値が30~1500IU/mLの範囲であることです。
ご検討の方は、まず血液検査を行い、既存治療を開始します。1週間の治療で効果が不十分、かつ血液検査で投与の条件範囲内であれば治療の対象となります。
治療効果は投与するシーズン限定です。6月以降、次期シーズンに向け舌下免疫療法による体質改善の治療を考えましょう。
舌下免疫療法とは、アレルギーを起こす原因であるアレルゲンを少量ずつ投与することで、身体を慣らしていくもので、体質改善を期待できる治療法の一つです。ただし、すべての人に必ず効果があるとは限りません。
安全性は高いと言われていますが、治療開始前には副作用などを十分に理解する必要があります。
『舌下免疫療法』
繰り返すくしゃみ・鼻水・鼻づまりが季節に関係なく出ている場合は、アレルギー性鼻炎の可能性を考えます。朝、くしゃみの連発がある、ホコリっぽいと症状が出る、など典型的な症状があれば、さらに可能性は高いでしょう。治療としては、内服薬・点鼻薬でのコントロール、または舌下免疫療法での根本治療などあります。是非ご相談ください。
問診と血液検査・鼻汁検査・鼻腔診察・皮膚テストなどにより診断します。
アレルギーの原因物質であるアレルゲンとして、ハウスダスト・ダニが圧倒的に多いです。この他、ペットやカビ(真菌)が増悪の原因となっている場合もあります。
くしゃみ・鼻水タイプ/鼻づまりタイプ/両方タイプなど症状の種類、その重症度により薬の種類が変わります。さらに薬の効果や副作用の出方には個人差がありますので、できるだけ合った薬を見つけるようにしましょう。
根本治療として、『舌下免疫療法』が有効です。
アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の合併はしばしば認められます。副鼻腔炎の症状は、粘っこい緑色の鼻汁、鼻づまり、痰、咳、ひどくなれば激しい頭痛がみられる場合もあります。
アレルギー性鼻炎がある人は、ない人に比べ、後から喘息を発症する可能性が高くなります。鼻炎の状態をよくしておくことは、喘息の発症抑制につながるとも言われています。
また、すでに気管支喘息を発症している場合、アレルギー性鼻炎の増悪が喘息を悪化させることも言われています。鼻も気管も同じ空気の通り道で距離も近いので、それぞれの炎症はお互いに影響し合っているのです。
赤く膨れた発疹で、時間とともに跡形もなく消失するのが特徴です。多くは痒みを伴い、24時間以内にまた出現します。
もともと蕁麻疹が出やすい体質の人に、風邪などの体調不良やストレスなどが引き金となって出始めます。はっきり原因を特定できないことがほとんどです。
中には食べ物、身体に触れたもの(汗や薬など)、温度変化などが直接原因の場合もあります。詳しい問診にておおよその見当がつく場合もあります。
抗ヒスタミン薬を内服します。内服にて症状が消失し、さらに内服を中止後も再発しなければ治療は終了です。抗ヒスタミン薬の効果には個人差があり、中には最初のお薬で治らない場合もあり、薬の種類の変更・増量・追加などが必要になることもあります。
ただし、体質的に出やすい人は何かをきっかけにまた出現するかもしれないので、自分に合う薬を常備しておくといいでしょう。ご相談ください。